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  1. 福岡県議会 2000-09-14
    平成12年9月定例会(第14日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(藤田 茂令君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。清田信治君。(拍手) *清田議員質問 2 ◯六番(清田 信治君)登壇 皆様、おはようございます。県政クラブの清田信治です。  通告に従い、最初に警察問題について質問いたします。  今、警察は不退転の決意で根本的機構改革に取り組んでいます。それは、取り締まるべき警察が取り締まられているという相次ぐ全国的不祥事に対して、住民の不信、不安がこのまま増大すれば、法治国家の崩壊をも意味するからです。福岡県が「サミットも一般治安も」を合い言葉にした蔵相会議での治安の維持に成功した今こそ、先進的な、積極的な福岡県警機構改革に取り組む姿勢を内外に明らかにすることは大いに意義深いと考えます。そのような中、警察庁は九月八日、中村警察本部長に対して管理部門の人員削減、業務委託など人員配置や運用見直しによる徹底した人員合理化を指示しました。この合理化計画案は、既に九月三十日までに警察庁に提出されています。可能なものは来年度から全国的に実施することになっています。これはさきの代表質問でも明らかになりましたように、七月の警察刷新会議での国民の身近な要望にこたえ、多様化する犯罪に対処するために地方警察官の増員が必要、の提言を受け、徹底した合理化を各県警が求められてのものでした。ちなみに、現在、福岡県警警察官九千二百九十二人、一人の警察官で県民五百四十人の命と暮らしを守っていることになります。管理部門の警察官を除けば、さらに警察官一人当たりの治安維持の負担は大きくなります。第一線で頑張っている警察官の増員計画を中心とした合理化計画が求められるゆえんです。そのことは九月三十日、警察庁の田中節夫長官が、一一〇番の受理件数が全国で最も多い福岡西署を訪ねた折にも明らかになっています。署員は正直に、発生事件が多過ぎて内偵捜査がなかなかできない、書類作成が煩雑過ぎて捜査に専念できない、交通違反の取り締まりをしているとののしられるなど、警察の今の現状と課題を述べたと言います。そこで警察本部長に、具体的な警察機構改革について県警の積極的姿勢についてお尋ねします。  まず一点目は、この合理化計画についてです。先ほどの田中節夫長官に進言した警察の現状と課題を直視することこそ実のある改革になると思います。また、緊急を要するものは県警が全国に先駆けて実施した警察安全相談課のように積極的、主体性が必要です。それは、県民との信頼のきずなにもなっていきます。そこで質問は、合理化計画案作成で明らかになった現警察機構上の問題点、さらにはそれを受けての合理化計画案の内容と今後の県警独自の機構改革の進め方についてです。警察本部長の明快な答弁を求めます。  二点目は、特に重要な警察官みずからの不祥事防止対策についてです。これ以上、不祥事という同じ過ちを繰り返さないために何が必要なのか。システム上の改善と警察官のモラル向上の施策を明らかにしてください。警察の威信と信頼がかかっています。将来、警察官になることを夢見ている人たちにとっても安心できる回答を求めます。  次に、警察機構改革の一環として福岡県警が全国に先駆けて実施した警察安全相談課についてお伺いします。八月三十日付で久留米署など七署に県民からの困り事の相談を受ける警察安全相談課が新設されました。内容を問わず相談にはすべて応じるこのシステムは、大いに歓迎するところです。既に県警が四月から困り事の相談の窓口を一本化し成果を上げているとの報告を伺っています。例えば、五月のタクシー強盗の事件後の相談に対する対応です。犯人から刺され、障害者となった運転手の奥さんからの相談は、無収入になり、水道、ガスもとめられ、生活すらままならないとの内容でした。久留米署相談課の担当署員は、労災認定に尽力し、認定が迅速におりたとのことです。事件が起きなければ動かないという従来のイメージを一変したこの対応は、清新で事件後もあるいは事件と関係なくても親切、丁寧に対応する私たちの警察との思いがしたところです。その困り事相談の係を発展、拡充したものが今回の警察安全相談課です。そこで、住民と近い警察への期待を込めて、この警察安全相談課の役割について、警察本部長にお伺いいたします。  一点目は、警察安全相談課への相談件数と内容、その対処の仕方についてです。八月三十日から新設されてこの間ちょうど一カ月、警察安全相談課への相談件数とその内容、内訳をお伺いいたします。また、その相談特徴から警察で対応が難しく、他の行政へ紹介した件数も明らかにしてください。  さらには警察への苦情、あるいは激励など現在の警察に対する住民感情を明らかにしてください。  二点目は、警察安全相談課の成果と今後についてです。この間一カ月ですが、それでも事件性があると考えられた相談への対処、身辺の不安を打ち明けた相談者への対応など、防犯と被害の未然防止での成果は上がったと考えられます。その成果についてお答えください。  さらには、今後の計画的な警察安全相談課の発展、拡充計画についてです。当然、現在七署の配置から将来は全署配置が予想されますが、これからの警察安全相談課のあり方について考えをお聞かせください。  警察問題の最後は、特に、特に大事にしている治安システムの強化充実、そのために弱者に対応できる交番、駐在所のあり方についてお伺いします。県内どこに住んでいても、いつでも、だれでも平等に安全、安心な生活ができるのは、二百七十五の交番、二百九十四の駐在所のおかげと言っても過言ではありません。しかし、それはすべての人が平等に一一〇番できたり、交番で相談を受けることを大前提としています。しかし、一一〇番のダイヤルを回して通報しても、話すことができない人はどうなるのでしょうか。交番を訪れて手話で相談したいのに、その対応が交番でできなかったらどうなるのでしょうか。実際、昨年一年間で一一〇番の通報三十七万四千八百三十六件、私のこの十五分間の警察問題の質問中に十一回一一〇番がかかっていることになります。いかに一一〇番通報が多いかがわかります。しかし、年間三十七万を超える一一〇番通報のうち、身体障害者用ファクス一一〇番の通報はわずかに六件です。県内で身体障害者用ファクス一一〇番を利用するであろう人は、聴覚障害や音声言語障害などによる身体障害者手帳交付数から少なくとも二万三千人はいます。肢体不自由や内部障害などによる身体障害者手帳を交付される人も利用することを考えれば、利用対象者は十五万人以上に上ります。一年間にわずか六件のファクス一一〇番通報というのは、これほどファクスが発達している現在において、ほとんど利用していないにも等しいと言えます。その原因は、身体障害者用ファクス一一〇番の使い方とファクス番号〇九二-六三二-〇一一〇番を知らない、あるいは知らされていない、そして障害者へファクスの機器が提供されていないからではないでしょうか。また、日常会話が手話の人は、交番に手話ができる警察官がいることを意味する手話交番の表示があれば安心してその交番に相談に行くことができます。しかし、現実は手話講習会を受講した警察官を配置している交番はわずか二十カ所、全体の四%にも至っていません。また、手話交番の表示がなく、障害者にとっては二十カ所の場所も見分けがつきません。そして、二十カ所すべての交番が本当に手話会話ができるかは不明確です。この現状から、早急に改善しなければならない点が幾つか明らかになったと思います。そこで、警察本部長に最後の質問です。  一点目は、身体障害者用ファクス一一〇番の趣旨徹底についてです。県下十七万四千人の身体障害者手帳交付者に対し、身体障害者用ファクス一一〇番活用についてのチラシ配布等趣旨徹底方法をお聞かせください。  二点目は、手話交番の表示と警察官の手話講習など障害者に対する研修、教養の強化についてです。手話交番と表示されることにより、障害者にとって交番は強い味方となります。それは、金融機関などに表示してある警察官立寄所を見たときの安堵感と同じような効果があります。手話交番の設置数がふえることは、同時に警察官の手話講習が実のあることも意味します。手話交番と表示できるようになるための有効かつ継続的な手話講習を中心とした研修、教養の充実と受講計画を示してください。  警察安全相談課との連携についても触れておきます。いつでも、だれでも、何でも相談できるこのシステムは、当然障害者も利用します。そこで、特に毎月一回は手話のできる相談日を設けることにより、警察安全相談課はさらに重要な役割を果たすことになります。十二月九日の障害者の日にちなんで、毎月九日は手話相談日とするのはどうでしょうか。ちなみに福岡県は、二年前から福祉のまちづくり条例を制定しています。警察官と住民との心身ともにバリアをフリーにすることは、福祉のまちづくりにとっても大きな前進です。本部長の前向きな回答を大いに期待しながら、県民と警察官互いの人権尊重に立った警察機構改革についてのこの項の質問を終わります。  次に、母子保健対策の充実についてお尋ねします。  まず、福岡県版健やか親子21の計画策定についてです。国は、深刻な少子化対策の一環として、本年度中にこれまでの母子保健活動が国民にとって水準低下とならないように新たな課題として新世紀の母子保健の取り組みの方向性を提示することにより、安心して子供を産み、健やかに育てることができる環境づくりのため、母子保健に関する目標値を設定し、関係機関を初め県、市町村、地域が一体となって国民運動を進める健やか親子21を策定するとお聞きしています。その取り組みの柱は、二十一世紀の母子保健の主たる課題を、一、思春期の保健対策の強化と健康教育の増進、二、妊娠、出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援、三、小児保健医療水準を維持向上させるための環境整備、四、育児不安の解消と子供の心の安らかな成長の促進などと述べています。そして、これはおのおのの課題にかかわる二〇一〇年の目標値を提示し、国民運動の展開方法を示すことになろうと思います。そこで、本県における母子保健の状況を人口動態統計の指標で見てみますと、死産率、周産期死亡率、乳児死亡率新生児死亡率妊産婦死亡率、いずれも最近五カ年の平均では全国平均より高く、ワーストテンに入っています。平成十年の人工妊娠中絶も全国平均より高く十一位、特に二十歳未満の中絶率は全国十位と高い数値を示しています。これは大変深刻な実態として受けとめなくてはなりません。そこでまず、平成十二年度の早い時期には、本県における健やか親子21の策定に取り組んで、二十一世紀に向けて母子保健活動の指針としなければならないと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、生涯を通じた女性の健康支援事業の拡充についてです。女性は、妊娠、出産等の固有機能を有するだけでなく、女性特有の身体的特徴を持つことによりさまざまな心身にわたる悩みを抱えています。そこで、女性にとって保健所など生活に身近な機関、場所において、みずからの健康に応じた的確な自己管理を行うことができるよう健康教育を実施し、また気軽に相談できる態勢を確立するとともに、子供を産みたくても産めないという不妊の課題に対応するための親切な態勢の充実が必要です。本県は、平成十一年十一月から国庫補助事業として久留米、宗像、鞍手の三保健所において不妊相談を中心とした健康相談及び更年期についての健康教育を開始しています。また、他の十保健所においては電話相談を実施しています。本県には、すべての保健所と支所に助産婦が一名配置されており、この事業については他県のように事業開始のために助産婦を雇用することなく即刻対応できているところが評価できると思います。現在、我が国では婚姻したカップルの一割が不妊に悩んでいると推計されます。福岡県では、平成十年に約一万一千組が結婚していますので、少なくとも毎年約千百組が不妊で悩んでいると想定されます。また、社会環境の変化、医学等の進歩によって人間の寿命が女性は八十四歳と世界でも有数の長寿国となっています。その結果、加齢に伴う更年期から老年期による心身の変化に悩む女性もますます増加していますから、現在のように三保健所のみの健康教室や健康相談の対応では、県民ニーズにこたえる健康支援対策に効果を上げることができません。そこで、早急に全保健所で対応すべきと思いますが、この点についてお伺いします。
     三点目は、遺伝相談モデル事業についてです。医学、検査技術の発達により遺伝子の解析は遺伝性疾患の研究に大きく貢献し、また安全で簡便な診断技術の向上に伴い、遺伝性疾患等の出生前診断が一般臨床現場に普及しつつあります。ところが、遺伝相談を必要とする者に対して適切な判断を促すような情報が十分に提供されていないのが今日の実態です。このことから、遺伝相談の訓練を受けた専門スタッフがより正しい知識を持ち、障害児、者のノーマライゼーションの観点に立った適切なカウンセリングを提供できるように、県において情報提供の中核となる遺伝相談センターを設けるとともに、各保健所に遺伝相談窓口を設置し、相談者本人や家族の精神的負担を軽減することが強く求められています。本県では、子供の疾病に対して、早期発見、早期治療を目的に小児がんの一つである神経芽細胞腫早期発見のための検査事業、未熟児に対する養育医療給付制度、難病に対する小児慢性特定疾病疾患医療給付事業等を実施しています。遺伝性疾患が多く含まれていることや多くの疾病が一生治療を必要とするものもあって、患者や家族の経済的、精神的負担は非常に大きいものがあります。これに対して、遺伝や出生前診断等に関する情報が少なく、情報提供や遺伝相談の態勢が整備されていない状況です。それでも各保健所、助産婦の半数が日本家族計画協会が実施している遺伝相談セミナーを受講、修了していて、保健所での遺伝相談に十分対応できています。今、急がなければならないことは、相談センターを設置することではないでしょうか。相談窓口を開設することではないでしょうか。知事の御所見をお尋ねします。  最後に、周産期医療対策の充実についてお伺いします。少子化が進行する中、安心して子供を産み育てることを支援するため、特に早急な施策実施を要するハイリスク妊婦及び新生児に対し、迅速に対応するための母子保健医療態勢の充実が挙げられます。国は、新エンゼルプランにおいて平成十六年度、二〇〇四年度までに原則として、各県一カ所の総合周産期母子医療センターを整備して、同センターを中心とする地域周産期母子医療センター及び一般産科との母体及び新生児の搬送態勢を初めとする連携を強めることとしています。本県では、平成十年十二月に久留米大学病院、同じく聖マリア病院福岡大学病院の三カ所を総合センターに指定し、また同年六月までに国立九州医療センター、徳州会病院を地域センターに認定、さらに飯塚病院を予定していると聞いています。北九州医療圏については、システムができていないために今後の課題となっているようです。今後は、入院していた妊産婦及び子供の生活の場でもある地域、家庭に帰ったときに不安なく生活、育児に専念できるよう支援する必要があります。それだけに保健所における助産婦の専門性が求められています。そして、総合周産期及び地域周産期母子医療センターから退院時カルテ等によって施設と保健所との連携が密になるよう十分な連携が図れるようにその態勢を整備する必要があります。知事の御所見をお聞かせください。  以上、今回の質問も私がこれから議員のライフワークとしたい人権尊重社会実現のための質問です。知事、そして警察本部長の誠意ある回答を求め、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(藤田 茂令君) 麻生知事。 *知事答弁 4 ◯知事(麻生 渡君)登壇 第一点は、福岡県版の健やか親子21の策定についてでございます。県といたしましては、少子、高齢化社会が進展をしております中で、安心して子どもを産み、そして健やかに育てるために母子の保健活動、これは非常に重要であるというふうに考えております。母子保健活動の今後の指針となります計画の策定につきましては、御質問の中にもございましたように、現在、国の方で健やか親子21という形で研究会が設けられ、具体的な検討がなされているわけでございまして、県の方といたしましては、このような検討結果を見ながら研究をしてまいりたいと考えております。  次に、女性の健康支援事業についてでございます。女性にとりまして、不妊あるいは更年期におきます体と心の問題は、大変難しい、深刻なものがございます。このため県におきましては、平成十一年度から生涯を通じました女性の健康支援事業を三つの保健所におきましてモデル事業として実施をいたしております。不妊や更年期に関します面接相談、健康教室を開催をいたしております。今後のこの支援事業の取り組みにつきましては、三つの保健所の事業の実施の実績、効果などを十分把握をいたしまして、それをもとに検討してまいる考えでございます。  遺伝相談の問題についてでございます。遺伝相談センターを設置したらどうかという御質問でございます。現在、各保健所におきまして助産婦さんなどにおきまして小児慢性特定疾患治療研究事業などを実施をいたしております。遺伝に非常に関係の深い分野についてでございます。そして、このような事業を通じまして、必要に応じまして遺伝性疾患に関します相談、情報の提供に努めております。  遺伝相談態勢のあり方でございますけれども、これにつきましては関係医療機関取り組み状況などの把握を行いまして今後、研究をしてまいりたいと考えております。  周産期医療対策についてでございます。現在、県の保健所では入院治療の必要な未熟児につきまして、医療機関と連絡、協力を図りながら、助産婦さんによります退院後の家庭訪問、育児相談などを実施をいたしております。総合的な周産期母子医療センターなどに入院をいたしました妊娠中毒症あるいは早産などの妊婦、あるいは非常に体重の小さな赤ちゃんにつきましても退院後の適切な育児相談を行いますために、保健所とセンターの連携強化にさらに努めてまいりたいと考えております。 5 ◯議長(藤田 茂令君) 中村警察本部長。 *警察本部長答弁 6 ◯警察本部長(中村 正則君)登壇 お答えいたします。  まず、警察改革に関してのお尋ねでありますが、県警察としての取り組みにつきましては、本年八月二十五日、国家公安委員会及び警察庁から警察改革要綱が示されたことに伴い、同日付で福岡県警察改革推進委員会を設置し、改革に取り組んでいるところであります。県警察では、これに先立ちことしの春と夏の組織改正におきまして、警察署における相談態勢の強化、首席監察官及び特命担当監察官の新設等の監察態勢の強化、公安委員会の補佐態勢の強化など改革の趣旨を先取りした所要の態勢強化を図ってきたところであります。県警察といたしては、これまでもデスク部門をできるだけ削減して業務負担の多い一線の現場部門に再配置するなど内部努力を続けてきたところでありますが、この十年間で刑法犯発生件数約一・四倍、交通事故発生件数約一・五倍、一一〇番受理件数約一・七倍など、犯罪等の量的増大、質的変化の中で、人口千人当たりの犯罪発生率全国第一位、人口十万人当たりの交通事故死傷者数全国第一位というまことに厳しい状況にあり、本県警察官の業務負担は全国的にも極めて厳しいものとなっているところから、国に対して警察官の増員を要望してまいりたいと考えております。もちろん、増員を要求するに際しましては、議員御指摘のとおり、現場の執行力強化のための合理化を、現場の声を積極的に取り入れるとともに、警察庁とも連絡調整しながら徹底し、県民のための警察の確立に向け努力していく所存であります。  次に、県警察の不祥事案防止対策についてでありますが、監察態勢の強化に伴い、各所属に対する特別監察等を随時実施するなど監察の徹底に努めるとともに、職員一人一人が警察職員としての誇りと高い倫理意識を持って職務に専念するため、警察学校における職務倫理教育の充実、職員一人一人に浸透するきめ細かな職務倫理教養の推進、幹部を対象とした事例検討方式による研修会の実施など、全職員を対象とした指導、教養を徹底し、不祥事案の防止に万全を期してまいる所存であります。  次に、警察安全相談課に関してのお尋ねでありますが、これまでの一カ月間において同課設置の七警察署で受理した相談件数は千五十七件であり、相談窓口を一本化した四月以降の月平均受理件数と比較しますと二五%近く増加しております。相談等の内容も、つきまといや迷惑電話、金銭貸借に絡む事案、暴走族の取り締まりなど多種多様であり、中には警察官の言葉遣いや態度などに対する苦情や、警察を頼りにしているとの激励も寄せられております。また、警察で対応できないような、例えば会社が給料を払ってくれない、離婚に応じてくれないなど約三百件、全体の約三分の一について関係機関に徴したり、対応機関等を紹介するなどの指導、助言を行っているところであります。  次に、警察安全相談課の成果と今後についてでありますが、寄せられた数多くの相談の中で、つきまとい行為を繰り返す者に対する警告を行い、被害等の未然防止を図った、金銭の取り立ての相談から相手を覚せい剤事件で検挙するなどこれまでに三十四件、全体の約三%を事件化する成果を上げているところであります。今後の警察安全相談課、係の設置拡大につきましては、各警察署における相談の受理状況を総合的に勘案して検討してまいりたいと考えております。  次に、平成二年に市民応接向上のため設置した身体障害者用ファクス一一〇番の広報につきましては、従来から一一〇番広報の一環として機会あるごとに実施しているところでありますが、今後さらに各種媒体を活用し、積極的に広報するとともに、聴覚障害者協会等関係団体を通じその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。  また、警察職員に対する手話の講習教養につきましては、ふくおか障害者プランに基づき毎年福岡県手話技術講習会に職員を派遣し、手話技術の習得に努めているところであります。さらに、手話に対する職員の意識づけを図るため、警察学校における手話の授業や手話クラブ、各所属におけるミニ講習等を行っているところであります。今後もこれらの施策を継続し、手話のできる警察職員の育成に努め、第一線への配置に配意するとともに、御指摘の手話交番の表示についても積極的に検討してまいりたいと考えております。 7 ◯議長(藤田 茂令君) 清田信治君。 8 ◯六番(清田 信治君)登壇 二回目は、強く要望します。  まず、知事についてです。私の母子保健対策の質問は、いずれも新たな経済的負担が必要となるものではありません。知事の研究という回答は、いずれも実行するものとして受けとめます。強く要望いたします。  次に、警察本部長に、期待を込めて強い要望をいたします。一般市民は、警察官に質問されることはあっても、警察官に質問することはなかなかありません。だからこそ、きょうの私の質問に対する警察本部長の回答が、開かれた警察、信頼された警察であるかどうかは県民が判断いたします。そして、開かれた警察、信頼される警察であることを証明するのは、第一線で頑張っている警察官です。だからこそ実働計画について質問をお伺いしました。きょうは明確に手話交番を開設する方向の回答を得ました。県内五百カ所以上あるどこかに第一号店ができたら、コンビニのように次々にふえるのを期待しながら、第一号の手話交番ができたらぜひともそこに参加しながら、手話で話をする人と一緒に同じ悩みを、交番の警察官にぜひ期待を込めて訪ねていきたいと思います。  私は、警察安全相談課に次のような激励の言葉が来ているのを知っています。私たちが最後に頼るのは警察です。頑張ってください。これが私の期待する声と同じ思いです。だれのための警察か、実感するのは一人一人の県民です。今後さらに機構改革を推進し、県民のための警察になるように真に願いながらすべての質問を終わります。  御清聴、本当にありがとうございました。(拍手) 9 ◯議長(藤田 茂令君) 二宮眞盛君。(拍手) *二宮議員質問 10 ◯三十番(二宮 眞盛君)登壇 皆様、おはようございます。公明党・新風の二宮眞盛です。通告に従いまして、一般質問をいたします。  初めに、福岡県内における交通事故に関し質問をいたします。昨年一年間における我が国の交通事故は八十五万三百六十三件で、交通事故による死者数は九千六人、負傷者数は百五万三百九十七人でした。実に一日平均で二千三百三十件の交通事故が発生をし、二十五人が死亡、二千八百七十八人が負傷したこととなります。この現状は、対物のみの事故を含まない件数であり、かつ警察に届け出がなされた事故件数であります。本県においては、昨年五万七百十七件の人身事故が発生をし、そのうち死者は三百十人、負傷者は六万二千百四十四人でした。この現状を各都道府県と比較をしてみますと、交通事故発生件数は全国四位、死者数は十位、負傷者数は全国四位に位置します。もっと細かく見てみますと、交通年鑑から本県の自動車保有車両数の推移を見るに、平成五年から昨年までの車両の増加は一・〇九倍、一方同期間の人身事故発生件数は一・三五倍です。車両の増加率以上に人身交通事故がふえています。交通事故率を車両保有台数百台当たりの年間死傷者数で見てみますと、昨年は一・八二人、事故率全国一位であります。昨年だけでなくこの傾向は続いています。平成九年一・六八人、この年もちなみに全国一位ですが、改善されることなく確実に事故率は上昇をしています。本年上半期における事故発生件数、負傷者数を見ても、過去最悪となった前年より約三%増加している状況です。昨日までの交通事故の死傷者は、死亡者は二百十八人、前年比マイナス四人ですが、交通事故における死亡者数の減少がとかく対策の中心としてクローズアップされます。もっとも、このことが一番重要なことであることは十分理解できます。しかしながら、交通事故による負傷者の中には、社会復帰ができない方やたとえ社会復帰ができたにせよ、事故の後遺症で長い間悩まされたり、事故が原因で家庭が崩壊したりとさまざまな犠牲者が存在をします。県下の交通事故対策は、福岡県政にとっても最重要課題の一つであります。しかしながら、データを見る限りでは本県の交通事故減少に向けての取り組みは、県民の評価を得るにはほど遠い現状ではないでしょうか。  そこでまず一点目に、交通事故率の改善ができない原因について、本県としてどのようにとらえているのか。また、三年連続事故発生率全国一位という憂慮すべき状態が続いていますが、減少に向けてどのような対策を立てられたのか、交通事故をなくす県民運動の本部長である知事の見解を求めます。  また、交通事故減少に向けて、県警として今後どのような対策をとっていこうとされるのか、本部長の決意を含め答弁をお願いいたします。  次に、本県における交通安全教育についてであります。昭和四十六年から五年ごとに作成される福岡県交通安全計画は第六次となり、ことしはその最後の年となります。計画の中で、交通安全教育はさまざまな現場で、さまざまな方法で取り組まれています。例えば、小学校から高校に至る教育現場では交通安全教室等の学校行事やホームルーム活動、学級活動等で適切に行われています。事実その成果として、小学校入学から免許取得前の高校生に至るまでの学齢期においては事故は減少傾向にあるようです。しかし、一人の高校生が小学生に話を聞いて作文にしていますが、その一節を紹介をいたします。  学校でも一通り交通安全教室をやったから安心と思ってはいけない。ほとんどの児童は何の興味も関心もなく、おしゃべりをしているかぼぅっとしているか、違うことを考えているのだから、もっと具体的に一人一人を指導していかないと、ただやりましたという学校行事になってしまう、とありました。この作文、実に観察をしていると思います。このようなことから、現在の学校教育における交通安全教育についてもいま一度工夫、改善が求められます。特に、生涯の人格を形成するために重責を担う学校教育の場において正しい交通のルールやモラルを真剣に教育することは、ただ単に交通安全教育だけでなく、その領域を越え、生命の尊厳あるいは社会的モラルの向上などその役割は大変に重要であると思います。私は、学校教育だけを取り上げて責任を全部かぶせるつもりはありません。多発する交通事故の原因は、家庭での教育や地域や職場などさまざまであると思います。社会全体で取り組むべき問題です。交通安全教育は、免許取得直前における教育だけでなく、小中高の学校教育の流れの中、交通モラルだけでなく、すなわち人間性、社会性に比重を置いた教育が一貫して行われることが交通事故減少に向けての総合的かつ効果的な取り組みではないかと私は思います。海外の例として、近年交通事故を着実に減少させた国としてドイツが挙げられます。幼児から高齢者までの体系的交通安全教育が実施されており、その中で学校における交通教育は極めて重要視されています。また、イギリスにおいては一九八七年に、二〇〇〇年までに交通事故死亡者数及び負傷者数を一九八一年から一九八五年の平均値の三分の二にする目標を定めました。その結果、一九九四年に、わずか八年間で目標を達成しています。イギリスの交通事故減少対策は、交通安全教育を早く行うべきとの考えに基づき、就学前の幼児期から保護者を含めて行っている点です。また、これが家庭、地域、学校教育を通して行われています。海外のことではありますが、交通安全教育を通して全体の交通事故が減るという事実であります。交通事故が減る、そして福岡県民の交通モラルが向上する有効な交通安全教育を本県においてもぜひ実現すべきと考えますが、知事、教育長並びに県警本部長の御所見をお伺いいたします。  次に、交通事故証明書に関する問題です。先日徳島県警で、ことし七月に起きた交通事故の処理で業務上過失傷害容疑の加害者に対し、事情聴取せずに交通事故調書が捏造されるという事件が発覚をしました。新聞報道によると、事故担当の警察官は事故処理が追いつかずにやってしまったとのことでした。このことは他県のことです。しかし、徳島県の事故率は、昨年一・一二人、前にも述べましたが、福岡県の事故率はこれより大きく上回ります。このことから、本県の場合一人の人身事故担当警察官がこなす仕事の量は、徳島県との比較のみならず全国的に見てもかなり多い方ではないかと想像されます。対人事故、対物事故にかかわらず警察が受理した事故に関し、交通事故証明書が発行されます。事故の当事者はこの証明書を持って自賠責保険なり任意保険なりに損害賠償の請求手続をしますが、ここで問題なのは事故証明書を請求してから発行されるまでの期間が、本県の場合余りにもかかり過ぎるという指摘がある点です。特に遅い例を挙げますと、平成十一年十月の事故で事故証明書が発行されたのがことし五月というケースがあります。請求から発行まで実に七カ月間もかかっています。通常、公的証明書の請求から発行に至るまでの期間は一カ月が限度ではないでしょうか。事故として自賠責保険への被害者請求の場合などは特に問題であると思います。事故証明書発行のおくれが賠償金の支払いをおくらせることとなり、被害者に多大な負担をかけさせることもあります。担当の警察官は、現場検証から事故当事者からの聞き取り調査、事故調書の作成と、作業量はかなりの時間を必要とし、多忙をきわめるという話を聞いたことがあります。交通事故調書の捏造に関し弁護するつもりはありませんが、交通事故担当の一人の警察官がこなす仕事の量が対処できないぐらいの状況にあるのであれば問題です。本県の場合、事故証明書の発行が他県に比較して遅いと言われる原因は、事故担当の警察官の処理が追いつかないことによるものなのかどうかも含め、県警本部長に事故証明書発行までの期間短縮に向けての取り組みについて、今後どのような対策を講じていかれるのか前向きな答弁をお願いをいたします。  次に、農業用ため池に関する質問です。本県には約五千三百カ所のため池が存在をします。言うまでもなく、ため池は貴重な水資源であるばかりでなくさまざまな役割を果たしており、本県にとっても大切な財産であります。昨年九月、ため池の保全と活用をメーンテーマとしたため池フォーラムが福岡で開催されたところであります。同フォーラムでは、ため池に関するさまざまな議論がなされ、ため池の水質悪化を初め今後の問題も多く提起されたようであります。三潴町のように、自治体として真剣に取り組んでおられるところもあるようですが、県全体を見たときに汚い、臭い、危険と呼ばれながら、さまざまな問題からそれをなすすべもなく対応ができない、そのようなため池も数多く存在するのではないかと思います。  一つの事例として、本年七月、行橋市高瀬にお住まいの方から、同地区にあります引水道と呼ばれるため池の件で、汚い、臭いと。そして、日常生活の面で非常に心配であるとの御相談がありました。このため池は広さ約一万八千平米、貯水量約三万トン、周囲には二百十一世帯の方々が生活をしています。周辺地域には下水道がなく、くみ取りが多いために、水利組合の話によると半数以上の世帯の生活排水や周囲の事業所からの排水が、このため池に流入をしています。また、同地域の都市化、混住化が進んだこともあり、地形の変化から雨水や生活排水以外の水の流入経路はなく、水質の汚濁は深刻であると思われます。このため池から取水されている十軒の農家の皆さんは、農業用水としての使用において、不安からことし一月、財団法人北九州生活科学センターに水質の調査を依頼しました。その結果、水質汚濁の許容濃度の目安と比較してPH、COD、DO、電気伝導率などにおいて許容濃度をかなり上回っており、地元農家の皆さんは農業用水としては現状では不適であるとの判断をされたようであります。また、ある農家の方は、ここ数年取水のためにため池で栓を抜く作業をする際、体がひりひりしたり、発疹が出たり、手についた汚れは石けんをつけてもなかなか落ちないと不安げに訴えられておりました。一方、このため池から発生するにおいは、地域住民にとって水質の汚濁と同様に最大の悩みになっており、風向きによっては悪臭が覆い、窓があけられない状態になるそうです。このことは、長年にわたり流れ込んできた生活排水がヘドロ化し、水位が下がったときその部分が露出した際にピークになるようです。不安要因が重なる中で、先月、ため池に生息する魚が数百匹死にました。地元の方から写真をいただき、環境保全課で調べてもらったところ、魚が死んだ翌日、連絡を受けた京築保健所ではすぐ調査を行い、その結果はため池の水の状態から酸欠によるへい死であるとの判断がなされたようであります。魚の死因はともかくとして、ため池の水質の汚濁が進行する中で、さまざまな現象が地元住民の中で不安は確実に増幅をされています。そこで、今まで大切な役割を担い、これからも大切な役割を担うであろうため池に関し、数点質問をいたします。  一点目に、今後ますます加速するであろう農村の過疎化と混住化の中で、管理上の問題を含め、ため池の水質の汚濁が大きな問題になることが予測されます。今後の対応については、生活排水の流入を解決することが緊急の課題と考えますが、予算などの問題からか地元自治体の対応の鈍さを感じてなりません。県としてリーダーシップをとるべきだと考えますが、いかがでしょうか。  二点目に、悪臭に関して、ため池に堆積したヘドロの除去が緊急の課題であると思います。引水道池のように、受益農家だけでなく多数の地域住民からの生活排水が流入し、ヘドロが堆積しているため池などは、公共性も高く、県として自治体への協力態勢も必要と考えますが、この点もお聞かせください。  三点目に、さまざまな環境問題に関し県民の意識も高まる中で、自分たちの生活圏の中に不安要素としてため池が存在することは避けなければならないと思います。住民の不安を解消するためにも、各自治体と連動して説明会の開催や広報紙の発行などできないものかと考えますが、いかがでしょうか。  以上、農政部長、環境部長に質問をいたします。誠意ある回答をよろしくお願いをいたします。(拍手) 11 ◯議長(藤田 茂令君) 麻生知事。 *知事答弁 12 ◯知事(麻生 渡君)登壇 第一点は、本県の交通事故率、これをどういうふうに改善をしていくかということについてでございます。本県の交通事故によります死傷者数が多いということにつきましては、御質問のとおりでございますが、この原因、要因でございますけれども、多様なことが考えられるわけでございますが、シートベルトの着用率が低い、また交差点での事故の割合が非常に高いわけでございます。このようなことから判断をいたしますと、やはり県民の交通モラルというものが低いということが大きな要因であるというふうに考えているわけであります。したがいまして、交通事故をなくす福岡県県民運動本部の方におきましては、県民の交通モラルの向上ということが非常に大切であり、これを図るということを目標にいたしております。四季ごとの交通安全県民運動、また県民の参加によります無事故無違反運動でございます無事故チャレンジ100などの活動を行っております。また、並行いたしまして、この旨の広報啓発活動を積極的に推進をいたしております。今後とも関係機関、団体の多くの力を結集をいたしまして悲惨な交通事故の減少に努めてまいる考えでございます。  また、二番目に交通安全教育の問題についてでございます。交通モラルを改善し、もっと高めなければいけないわけでございますが、このためには心身の発達の段階に応じまして交通安全教育を徹底をしていくということが極めて重要でございます。県の方では、交通安全計画をつくっておりますけれども、これにおきましても幼児から高齢者に至りますまでの各年齢層に応じまして体系的な交通安全教育をしていこうということを施策の重要な部門として位置づけておりまして、また現にそのような努力を行っているわけでございます。具体的に申しますと、各種の交通安全教室を開催をいたしまして、関係者に対するモラル向上を行っております。また、指導者が非常に大切でございますから、指導者の育成事業にも取り組んでいるところでございます。今後も、このような交通安全教育が徹底され、実効性を高めてまいるということが必要でございますから、関係団体との協力そして何よりも参加、体験型の講習、教育の推進を図っていく、また家庭や地域におきます交通安全教育、これも徹底を図ってまいりたいと考えております。 13 ◯議長(藤田 茂令君) 井上環境部長。 *環境部長答弁 14 ◯環境部長(井上 研一郎君)登壇 農業用ため池の水質汚濁につきまして御質問がございました。  まず、生活排水対策における県のリーダーシップについてお答えします。生活排水につきましては、これが流入するため池はもとより、河川など公共用水域の汚濁の原因となっておりますことから、その対策を進めることが肝要であると考えております。したがいまして、県では生活排水による汚濁が進んでいるおそれのある地域を水質汚濁防止法の規定に基づきまして、平成二年度から生活排水対策重点地域に指定し、合併処理浄化槽の普及など対策の推進を図っておるところでございます。今後とも、各市町村に対しまして、合併処理浄化槽の面的整備を目的としました特定地域生活排水処理事業の積極的な活用を指導するなどにより、県民の生活環境の向上と公共用水域の水質汚濁の防止に取り組んでまいります。  次に、ため池の水質汚濁に係る住民の方々の不安の解消についてでございます。ため池は、水が停滞する閉鎖性水域でございまして、生活排水等の流入により富栄養化が進み、住民の方々の不安を招く結果となったものと考えております。県保健所に対する苦情等につきましては、必要な調査を行い、苦情者にその結果を説明しておるところでございますが、今後は市町村と協議を行いまして、調査結果を広報紙に掲載することなどにつきまして検討してまいりたいと考えております。 15 ◯議長(藤田 茂令君) 塚本農政部長。 *農政部長答弁 16 ◯農政部長(塚本 和男君)登壇 農業用ため池に堆積しておりますヘドロの除去についてでございます。ヘドロの除去は、水質の向上や悪臭の防止ばかりではなく、ため池本来の機能でございます貯水容量の確保、洪水の調節にも寄与するものでございます。ため池のしゅんせつにつきましては、幾つか補助事業の制度がございます。関係市町村に対しましてこうした事業内容の説明を十分行い、地域住民の方々の御理解も得ながら的確に対応していきたいと、かように考えております。 17 ◯議長(藤田 茂令君) 光安教育長。 *教育長答弁 18 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 交通安全教育についてでございます。子供たちの安全を守りますためには、幼稚園、小学校、中学校、高等学校それぞれにおきまして、それぞれの発達段階に応じて交通ルールやマナーの遵守、命の大切さを重視した交通安全教育に取り組んでおるところでございます。また、高等学校の二輪車通学を許可をいたしております学校におきましては、実技を伴った交通安全教室等を開催をいたしておるところでございます。しかしながら、御指摘がありましたように、交通事故によります死傷者数が依然として多いという状況でございます。今後は、教職員を対象として実施をいたしております研修会におきまして、関係機関と連携を図り協力をいただきながら、例えば乗車中の死角体験あるいはスリップ体験といったような研修の内容を工夫、改善をいたしまして、参加、体験型の研修を推進をし、学校におきます交通安全教育のさらなる徹底を図ってまいりたいと考えております。 19 ◯議長(藤田 茂令君) 中村警察本部長。 *警察本部長答弁 20 ◯警察本部長(中村 正則君)登壇 お答えします。  まず、交通事故防止対策についてでありますが、全国の交通事故による死者数が、戦後ピークとなった昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定され、交通事故防止における国及び地方公共団体等の責務が明示されたところであります。この交通安全対策基本法の趣旨を踏まえ、以後、県警察におきましては交通安全教育、交通安全施設等の整備及び交通指導取り締まりを基本とする総合的な交通事故防止対策を積極的かつ効果的に推進してきたところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり本年の交通死亡事故は前年に比べ減少しておりますが、発生件数や負傷者数は依然として増加傾向で推移しており、本県の交通事故の発生率は平成九年から三年連続で全国ワースト一位というまことに残念な結果となっております。県警察といたしましては、交通事故処理を扱っている立場から、今後とも積極的な情報発信に努め、関係機関、団体と連携を密にし、県民の交通安全意識の高揚を図るとともにあわせて道路管理者と共同して良好な道路交通環境の整備を行うなど、総合的な交通安全対策をより一層強力に推進してまいる所存であります。  また、当面の対策として政府の第六次交通安全基本計画の最終年としての目標達成に赤ランプがともっていることを踏まえ、これから年末に向け例年交通事故が増加する傾向にあることから、十月、十一月の二カ月、県警察の総力を挙げて交通事故防止のための緊急対策を実施することとし、交通事故多発路線での交通指導取り締まり関係機関、団体と一体となった広報啓発活動を展開することといたしております。  次に、交通安全教育についてでありますが、交通安全教育は、県民の交通安全意識や安全行動をはぐくむ上で大変重要な意義を有しております。国家公安委員会におきましては、平成十年に交通事故の減少を実現するため、人の成長過程に合わせた生涯教育を根幹とする交通安全教育指針を制定しております。県警察におきましては、この教育指針に基づく質の高い交通安全教育の効果的かつ適切な推進を目的として本年四月、県下六市四町を交通安全教育推進パイロット地区に指定し、幼児から高齢者までの各年齢層に合った交通安全教育指導員の育成に努めるなど、地域ぐるみの参加、体験、実践型の交通安全教育に取り組んでいるところであります。今後、これらパイロット事業を県下全域に拡大し、交通事故防止を図ることとしております。  最後に、交通事故証明についてでありますが、人身交通事故に関する証明書は全体の約八三%が、申請があれば一カ月以内に発行できる状況にありますが、交通事故の関係者の入院や多忙等により事情聴取ができず事故証明書の発行がおくれている事例も見受けられます。また、交通事故はこの十年間で一・五倍になるなど量的増加に伴い、交通事故処理に従事する本県警察官の業務負担は全国と比較しても極めて厳しいものとなっており、一部の遅延につながっていることも事実であります。いずれにしましても、事故証明書の発行がおくれることは、一時的にせよ被害者等の経済的負担を招くことから、できるだけ速やかな発行に努めてまいる所存でございます。 21 ◯議長(藤田 茂令君) 二宮眞盛君。 22 ◯三十番(二宮 眞盛君)登壇 最後に、交通事故の改善に関しまして要望を述べさせていただきたいと思います。  知事から、交通事故が多い原因としまして明確に答弁いただいたわけですけれども、中で、県民のモラルが低い、このことが大きな要因であるということも知事は一つお認めになった点だろうと思うんです。昨今、聞いたこと余りないんですが、以前はよく聞きました。関門海峡を渡るとドライバーの質が変わると、こういうことをよく聞いたわけですけれども、これはやっぱり私は福岡県民の気質といいますか、そういったものを端的にあらわしている言葉ではないかなというふうに思うんですね。さまざまな対策をとられているということはよくわかりますが、話を聞いてまして非常によく感じることは、知事部局そして教育委員会、県警本部この三者の中で本当にそれぞれが壁に当たっているんじゃないか、それが一つの結果として出ているわけですけれども、対策の行き詰まりというものを私は感じてならないんです。そういった面で、やはりリードするのはだれなのか、リーダーシップをとられるのはだれなのかと考えたときに、ぜひ知事にその音頭をとっていただきたいことを再度お願いをさせていただきたいと思います。  経済活動が活発になってまいりますと、それから半年ほどおくれて交通事故がふえるという、そういうデータもございます。本県の場合を考えてみましても、景気が少しずつではありますが、回復基調に入ってきた。当然、今後交通事故がふえるだろうということが十分に予測がされるわけです。そのことが上半期の県警本部から発表されました数字を見ましても、最悪と言われた昨年よりもまださらに三%上回るという、そういう状況が今続いているわけですけれども、これはやはり一つの警鐘であるということをですね、私ども受けとめなくてはいけないんじゃないか、そのような気がしてなりません。重ねて申し上げます。交通事故を減らすための一つの運動というものは、やったというそういうことではなくて、有効なもの、間違いなく減ったということを目指して知事にその音頭をとっていただきたいというふうに重ねてお願いをいたします。  それから、事故証明書の遅延ということでありますけれども、一部という発言がありましたが、この一年間私、このことを見守らせていただきたいと思います。ぜひこの一年間かけて、交通事故証明書が七カ月もおくれるというような状況がないようにぜひその辺の努力をしていただきたいというふうに思います。  以上をもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) 23 ◯議長(藤田 茂令君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時  十六分  休 憩           午 後 一 時 三十一分  再 開 24 ◯副議長(豊沢 一男君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。大家敏志君。(拍手) *大家議員質問 25 ◯十五番(大家 敏志君)登壇 自由民主党の大家敏志でございます。我が会派としては最後の一般質問者となりましたが、私は前回の一般質問に引き続き、しつこいようでありますが、今回もまた北九州博覧祭について質問をさせていただきます。再度にわたり質問をさせていただくのは、皆様御承知のように、北九州博覧祭は市民の興味を引きそうな、ただ単に展示物を並び立てたアミューズメントとは違い、北九州市が二十一世紀への発展、飛躍を見据え、その起爆剤として計画されたものであるためです。それだけに知事におかれましては、こうした北九州市の意図するところ、あるいはその決意を十二分に理解していただき、なるほどさすがは北九州市出身の麻生知事さんだと、北九州市民が拍手喝采して喜べるような、県としての支援に関する明快な答弁をいただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。  さて、世界を沸かせたシドニーオリンピックも十月一日に無事閉会いたしました。本県出身の田村亮子選手はもちろんのこと、女子マラソンでは高橋尚子選手が陸上競技では六十二年ぶりに我が国に金メダルをもたらすなど、日本選手の、それも特に女子選手の活躍が目を引きました。現地シドニー、オーストラリアは、今や世界最大のイベントとも言えるオリンピック開催により全世界に情報を発信し、政治、経済、文化などすべての分野で予想を上回るオリンピック効果を発揮したとマスコミも報じていました。もちろん事実もそのとおりだろうと思います。このオリンピックの例を今さら取り上げるまでもなく、こうしたビッグイベントがもたらす波及効果は、国際都市としての知名度を高めることは言うに及ばず、政治、経済、社会のすべてにわたり大変なものがありそうです。古い話ですが、一九八八年のオリンピック開催をめぐって韓国・ソウルと我が国の名古屋市がこれを争い、名古屋市が事前の予想が覆り敗れたことがありました。勝ったソウル市がオリッピック開催をきっかけに、東京と並ぶアジアの大都市として世界へ大きく羽ばたいたのに対し、やむなく敗退した名古屋市が国際都市名古屋としての威信、面目を低下させたことはもちろんのこと、あらゆる面で意気消沈し、長く低迷を余儀なくされたことは本当に同情を禁じ得ないところでありました。  そこで、このような例を改めて引き出すまでもなく、二十一世紀のスタートを飾るビッグイベントとして北九州市が来年計画している北九州博覧祭2001については、絶対に成功させなければならないイベントであると考えています。テーマは「響きあう 人・まち・技術」、来年七月四日から十一月四日までの間、私の地元でもあり、また後ろの議長席に座られておる豊沢副議長の地元でもあります。北九州市八幡東区のJRスペースワールド駅前で開催する北九州博覧祭2001は、二十一世紀の北九州市、日本、そして世界で科学技術がどのように発展し、社会はどのように変わっているのか、これを仮想体験することができる、いわばバーチャルリアリティー・エキスポであります。大げさに言うならば、世界で初めての試みの博覧会であると関係筋には高く評価されていると聞いています。しかしながら、この北九州博覧祭2001を成功に導くためには、幾つかの厳しい課題が指摘されています。したがって、これをクリアにしていかなければ成功へと導くことはできないと私は考えています。  まず第一点は、ほぼ同じ時期の七月十四日から九月三十日までの間に山口県阿知須町で山口きらら博が開催されることであります。しかも、「いのち燦めく未来へ」となっているテーマからも想像できるように、あすの二十一世紀を描こうとするそのコンセプトについては、北九州博覧祭2001と極めて似通っています。このため、北九州市としては今後このきらら博との違い、言うならばその北九州博としてのアイデンティティーを確立させ、そのPRに努めていかなければなりません。もちろんこれはこの博覧会を成功に導くための北九州市自身の大きな課題であります。  次に、最近における博覧祭に対する関心の低さであります。現在、ドイツ・ハノーバーで「人間・自然・技術」を基本テーマとして国際博覧会が開催されています。地球環境保護の立場から、国家を問わず、民族を問わず、人類すべてが取り組まなければならないエネルギー、エコロジー、リサイクルといったテーマについて、世界共通で考えてみようという、これまでとは趣がやや異なったエキスポとなっているところが目を引きます。ところが、これだけのテーマをもってしても、入場者はこれまでのところ主催者の予想をはるかに下回るもので、今後大幅な赤字は必至とマスコミでは伝えられています。世界を問わず、エキスポ、博覧会といったこの種のイベントがその大小、テーマのよしあしにかかわらず、冬の時代を迎えていると考えなければいけないのでしょうか。私は、そうではないと考えます。取り組みさえ、準備さえ万全ならば決して悲観的になることはないととらえています。例えば、少し前の話になりますが、平成元年三月十九日から九月三日までの半年間、福岡市でアジア太平洋博覧会よかトピアが開催されたことは、いまだ記憶に新しいところです。このよかトピアは、予想七百万人を大きく上回る八百二十二万人の入場者となり、その活気と熱気は会場にとどまらず福岡市全域に満ちあふれ、内外から大成功だったと高い評価を受けました。少し色あせた言葉になりましたが、今、福岡が元気だ、という流行語が生まれたのも、このアジア太平洋博の成功をきっかけに福岡市がアジアの中心都市としてクローズアップされたためだと理解しています。このよかトピアの成功がアジア開発銀行総裁会議、九州・沖縄サミットなどの国際会議やユニバーシアードなどの開催につながったと言えます。こうしたイベントの成功を通して福岡市が国際都市福岡へ脱皮した、そう言っても過言ではないと思います。地方都市開催のイベントとしてアジア太平洋博はまさに模範的だったと言えるのではないでしょうか。要は、地方には地方なりの開催意義があり、これを地域挙げていかに取り組むかが成否の分かれ目のような気がしてなりません。さらに言うならば、その地域の中で中心を占めるべき県、福岡県がどのような支援態勢を築いてあげるのか、これがかぎを握っていると言っても私は過言ではないと思います。昨年十二月議会での一般質問で、この北九州博覧祭について知事にお尋ねをしました。そのときは、まだ準備段階であるからその推移を見て、といったような答弁にとどまっていたような気がいたします。あれ以来一年近くが経過をしております。県としてかなりの検討をしていただいておるものと判断をしますので、そこで以下、私が今まで述べてきました課題に即して具体的にお聞きいたします。  まず第一に、県の支援態勢についてであります。アジア太平洋博よかトピアでは、「九州はひとつ」を理念として県の呼びかけにより九州館というパビリオンが建設され、九州八県がこれにこぞって協力し、出品、展示しました。異色のパビリオンとして人気を集めていました。この九州館建設に県は一億六千万円余の財政支援をされていると私は聞き及んでいるところであります。北九州博覧祭協会によりますと、福岡県全域の多様性に富む姿や二十一世紀に向けて活力ある地域として発展する姿など広くアピールするために、仮称ではありますが、ふくおかパビリオンを建設する意向だそうであります。これに県及び県内市町村の参加を呼びかけているとのことですが、このパビリオンへの出展についての知事の決断をまずお聞かせいただきたいと思います。  また、県内各市町村のこのパビリオンへの出展検討の現状を県として把握されているでしょうか。もし出展が少ないのなら、県として各市町村に呼びかけてやることが当面最大の急務であると考えます。ですから、現在の状況とその見解をお示し願います。  次に、PR態勢についてであります。北九州市の懸命なPR活動にもかかわらず、この北九州博覧祭2001の知名度はまだまだ低いものがあります。福岡県民五百万人のうち何%の人がこの開催を知っているのでしょうか。もちろんこれは北九州市のPR不足がまず問われるべきところではあります。博覧祭協会事務局によると、パビリオン出展のほか入場券の県職員の販売あっせん、観客誘致、広報などの協力を福岡県に依頼していると聞いております。よかトピアの成功にもこの積極的なPRが大いに寄与したところと思われますが、そこで北九州博覧祭のPRについて県はいかなる協力態勢を考えておられるのでしょうか、お答えを願います。  また、入場券のあっせんに関して福岡県に対してはもちろんでありますが、各市町村、職員互助会などの補助を受けられるように働きかけをしていただけるよう知事に要望をいたしたいと思います。  また、北九州博覧祭は環境、技術、健康、アジア交流などもテーマにした出展がなされ、二十一世紀を担う子供たちの学習の場としても大いに活用できるものとなり得ると私は理解しているところであります。そこで、この博覧祭を県内にある学校の校外学習、社会見学の場として活用してもらうためにも県教育委員会として市町村教育委員会を指導していただければと思っていますし、また県立高校にも見学の呼びかけをしていただきたいので、教育長の明快なる答弁をお願いいたします。  最後になりますが、会場への交通アクセスの一つとして北九州都市高速の延伸問題がありますが、現状はどのように進捗しているのか、北九州市が切望している枝光-大谷間について、開催までの完成の見通しと、もし現状において見通しが暗いのであれば何としてでも間に合わせるべく知事のその決意のほどをお聞きして、私の一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 26 ◯副議長(豊沢 一男君) 麻生知事。 *知事答弁 27 ◯知事(麻生 渡君)登壇 北九州博覧祭のふくおかパビリオン───これは仮称でございます───の点についてでございます。来年七月から北九州で開催されます博覧祭2001、これはテーマ、いかにも北九州らしいテーマを掲げて行うわけでございます。内外からの二百万人の方に来ていただこうという目標を掲げているわけでございまして、本県にとりましては二十一世紀、まさに最初の大きなイベントになるわけでございます。この中にふくおかパビリオンというものをつくり、そしてそこに福岡県や県内の市町村が出展をしてもらいたいということでございまして、このパビリオンは二十一世紀の新しい福岡県あるいは市町村の姿を産業、観光あるいは文化の面、さまざまな観点から情報発信をしていこうというものでございます。県の方では、このパビリオンにはマルチメディア映像といった新しい技術を用いた展示を考えてはどうか、そして市町村と一体となって二十一世紀の福岡を広くアピールする、そういう場にできないかというふうに考えておるわけでございます。  また、市町村のこのパビリオンへの出展の検討状況でございます。このパビリオンへの出展につきましては、北九州博覧祭協会と共同で市町村の方に積極的な出展の呼びかけを行ってきております。その結果、県の全市───二十四の市があるわけでございますが、その市は出展をするということになってきております。また、町村ではそのほか約二十の町村の方が出展をするという方向を表明をいたしておる状態でございます。今後とも参加市町村とよく連携をとりまして、ふくおかパビリオンが魅力的なものになるように考えてまいる所存でございます。  また、この博覧祭のPRについてでございます。PRにつきましては、県の方では県のさまざまな広報媒体は当然でございますが、加えまして市町村などへの広報呼びかけ、他県との会議の場におきましてもPRを行っております。また、旅行代理店への働きかけも行うというようなことでございまして、積極的なお客さんへの呼びかけを支援をしてまいってきておるわけであります。今後ともこのような支援努力をしてまいる考えでございます。  最後に、この博覧祭へ至ります北九州高速道路の五号線枝光-大谷間の工事についてでございます。この枝光-大谷間は二・四キロあるわけでありますが、北九州博覧祭の交通アクセスの柱の一つとなる重要な路線でございます。来年七月の開催に合わせた供用を目指して福岡北九州高速道路公社で鋭意事業を進めております。  現在の進捗状況でございますけれども、用地の取得、下部構工事がほぼ完了したというような状況でございまして、上部構のけたの架設を実施中でございます。博覧会の開催に間に合いますように、今後とも公社に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。 28 ◯副議長(豊沢 一男君) 光安教育長。 *教育長答弁 29 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 北九州博覧祭2001の基本テーマであります環境、技術、健康、アジア交流などは、いずれも現在本県の各学校で今日的な課題として取り組んでおりますさまざまな学習とも深い関係がございますので、大きな教育的意義を有するものと考えております。このため、博覧祭協会事務局や北九州市教育委員会と協議をしながら県内の市町村教育委員会や校長会等を通じまして、各学校がこの博覧祭を積極的に活用いたしますよう働きかけてまいる所存であります。 30 ◯副議長(豊沢 一男君) 林裕二君。(拍手) *林議員質問 31 ◯四十三番(林 裕二君)登壇 新世紀緑友会の林裕二でございます。今までこの壇上に何回も出させていただきました。いつも大変緊張をするのでございますが、特にきょうはテンションも上がっておりますし、また非常に緊張も強うございます。ひょっとすると声が上ずったりするかもわかりませんけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  それでは、通告に従いまして質問をいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
     環境問題は、目下の政治的、行政的な大きな課題となっております。我が福岡県におきましても同様で、今九月定例県議会の全会派の代表質問に、また一般質問にも数多く取り上げられているところであります。さて、厚生省のホームページを開いてみると、青空のもと子供たちが水遊びや自然との触れ合いを楽しんでいる光景が目に飛び込んできます。心が和みます。まことにこのような次世代の子供たちを生み、はぐくむ、安全で美しい環境を残していかなければならないと思うのであります。多岐にわたる環境問題の解決は困難をきわめることが多いのですが、県民の理解を得ながら的確、迅速に対処し、解決に向けて最大限努力することが県の責務であるし、またそのような県の姿勢に県民も大いに期待しているところであります。  さて、昨年の十二月より私の地元であります朝倉郡朝倉町、杷木町両町住民にとって大変に困った事態が発覚し、現在、地域ではこの問題を解決すべく両町の行政と議会、住民が一体となって各方面に懸命な働きかけを行っております。それは、筑後川を挟んで対岸に位置する浮羽郡浮羽町、吉井町、田主丸町の三町において、三町の一般廃棄物処理場を筑後川の中島に建設する計画が進められていることです。朝倉、杷木の両町ではダイオキシン対策等の観点から処理場が必要なことは十分理解できるが、筑後川の中島につくることだけは絶対にやめていただきたいと、ほぼ全住民の署名を添えて再三にわたり浮羽郡衛生施設組合及び浮羽郡三町に強く申し入れをしてきました。浮羽郡衛生施設組合が計画しているRDF方式自体に反対しているのではありません。建設する場所の変更を訴えているのです。また、朝倉、杷木両町のみならず、甘木・朝倉広域圏を構成している一市四町二村の全首長、全議長も同じように場所の変更を浮羽三町に申し入れをしてきたところであります。去る七月十二日、建設予定地のある中島を眼前にした河川敷で住民約二千人が集結し、処理場を筑後川の中から外すべきだ、場所を移してほしいと対岸の浮羽三町に訴え、六百人が吉井町、浮羽町に向けて行進をしました。その後七月二十日には───皆さんも知っておられるように大変なことしの夏の暑さでありました───猛暑の中を約五千人の住民が反対の決起集会、二千人が浮羽三町の人々へ場所の変更を訴えて約七キロの道のりを行進しました。そして十月一日には、同じように五千人規模の集会、二千人規模の行進が行われたところです。朝倉町、杷木町の人口は合わせて二万人ですから、実に両町の四分の一の人々が参集したのです。決起集会には地元選出の国会議員、甘木、朝倉の市町村長、議長が出席し、また甘木市選出の森田議員と私も、場所見直しを求める住民と一体となった行動をとっていくことを再確認し合ったところであります。また、筑後川下流の住民の方々、福岡都市圏の皆さんから十万人を超える場所の変更を求める署名をいただいており、県当局にも三回にわたって場所の変更を指導するよう要請を、また仲介をするよう陳情を行ってきたことは御承知のとおりであります。また、厚生省、建設省、法務省、県選出の国会議員に対しましても同様の要請を行ってきたところでございます。しかし、これまで浮羽三町の方針は全く変更が見られず、一方で環境アセス、農振地域の除外、防災計画等着々と建設に向け準備が進められていると聞き及んでいるところです。  ところで、なぜこのように強固に、粘り強く場所の変更を求めて団結して行動するかについては理由があります。まず、場所がいくら河川法上の河川区域外の民地とはいえ、筑後川の中州であること、この中島は過去───昭和二十八年六月の集中豪雨による水害時、そこに建っていた民家が流され、人が流され、死者を出しているのです。その後、筑後川上流に下筌、松原ダムという大型の治水ダムが建設されるなど治水事業が行われてきたにもかかわらず、上流で集中豪雨になると当然のことながらこの中島は孤島となってしまい、昭和五十四年には中島の家畜が現に流されるなど危険性が高い場所であり、さらに建設予定地は計画高水位より約一・五メートル低いところにあり、大水等の増水時には完全に水没する危険性があり、大きな環境汚染や水の汚染を引き起こす可能性が大であります。知事も御承知のとおり、筑後川は流域の農業用水、漁業、久留米市を初め下流域住民及び福岡都市圏の水道水として使用されており、万が一の場合二百五十万人の生活に大きな影響をもたらす危険性があることは否定できないのではないでしょうか。もともと中島は、増水時、遊水機能を果たしてきたところであり、中島全体に護岸工事をすれば両岸の水位が高くなり、影響を及ぼすことはだれが見ても明らかです。このため、処理施設の周囲をコンクリート防壁建設をするといった防災計画も考えられているようですが、ここへのごみ搬入には橋や取りつけ道路等が必要なことなどもあわせて考えたとき、巨額の公共工事、税の投入が必要であり、この地でなければならない理由は極めて小さく、場所の変更が最も妥当な考え方ではないかと思うのであります。  次に、中島の施設建設予定地は、吉井町行政区内でありますが、杷木町、朝倉町に隣接をしており、いわば三町の共有の島であり、筑後川の左岸側の吉井町の民家からは堤防で完全に遮断されているのに、右岸側の杷木、朝倉両町側は本流を隔てて幹線道路である国道三百八十六号線が走っており、民家から丸見えの位置にあるのです。中島の周辺は、虚子一門の俳人小原氏が「いにしえの こと暮れ春の 瀬の音に」の名句を詠まれたほどの清流であり、近くには長年の川のはんらんを辛うじて食いとめるためにつくられた江戸期以来の山田堰、そのやや下流にはやはり江戸時代以来の勤勉な積み上げによる三連水車など、杷木、朝倉の住民にとっては自然と闘いながらも共生して、その歴史的景観、心休まる美しい景観を保持してきている場所であります。また、すぐ上流には全国有数の保養地原鶴温泉があり、その清流を見ながら鵜飼い船で遊び、都市の人々がくつろぐ場所でもございます。こうした場所にある中島にごみ処理施設を建設することは、朝倉、杷木住民にとっては考えもつかないことなのです。対岸とはいえ、浮羽三町のメーンな居住地から中島は見えないことが、行政担当者としてこのような計画づくりに走らせたものと推察されます。このような自己中心主義は許されるべきものではなく、周辺自治体との融和、協力の姿勢がなくてはならないものと考えるのであります。  次に、廃棄物処理場、処分場を立地する場合、より安全な施設をつくることと同時に、周辺地域住民に理解を求めることが当然のこととされていると思います。しかるに、今回の浮羽三町による処理場建設は、昨年十月に建設予定地を浮羽郡の妹川地区として、厚生省に対し県経由で補助金申請がなされました。しかし、わずか一カ月後、どういうわけか建設場所を吉井町の中島に変更申請されています。そしてその後、十二月十日になってようやく、中島に建設するのでよろしくと、杷木町、朝倉町両町に事後承諾を求めてきたものであります。両町長はこの計画に驚き、浮羽三町に対して、中島に処理施設をつくることは過去の経緯、筑後川の中州であること等問題が多過ぎると計画の見直しを再三再四求めてきたところでありますが、浮羽三町は、もう決めたことだからと見直しには一切応じなかったことから、杷木、朝倉両町民は住民挙げて行政、議会と一体となった強固な場所の見直し運動に発展してきたものであります。中島の建設予定地は、吉井町の行政区域内にありますが、狭い道路を挟んだところには杷木町の行政区があり、朝倉町の行政区がそばにあります。まさによその家の軒先、玄関先に相談もなくごみ処理施設をつくるとは、まさに晴天のへきれき、言語道断であると怒るのはもっともなことではありませんか。また、この中島には約三十年前、杷木町の行政区域内に甘木・朝倉広域圏がし尿処理場を計画し、用地取得後吉井町住民などの反対により建設を断念した経緯があり、その当該土地を平成二年二月、吉井町から甘木・朝倉広域行政に対し、吉井町の総合運動公園の用地として譲渡してほしいとの要請があり、甘木・朝倉の衛生施設組合では過去の経緯もあり、どうして譲渡する必要があるかとの反対も多かったと聞いていますが、スポーツ施設用地であり、浮羽郡、朝倉郡との友好関係を大切にすべきとの判断で、平成四年、吉井町に譲渡されています。平成二年の吉井町長から甘木・朝倉施設組合理事長に提出された譲渡申請書には、中島をリゾート地帯として開発計画中であり、その一次計画として上流地域一体を総合運動公園として整備することとなりました、とあり、この中島に一般ごみ処理施設をつくることは、行政間の信義、行政の継続性などを考慮したとき、許されることではないと思います。もし万が一にもこのまま計画が強行されますならば、筑後川を挟んだ浮羽郡対朝倉郡の自治体同士の対立にとどまらず、住民同士の対立、抗争に発展することが予想され、大変危惧されるところであり、何とか解決の道はないか模索されているところでもあります。これは決して私だけの心配事ではありません。先ほど三十年前のことをお話ししましたが、当時の新聞を見ると甘木・朝倉側と吉井町側とが鋭く対立し、血を見かねない争いの一歩手前までに陥っております。幸い、当時の甘木警察署長、吉井警察署長、県の衛生部次長が仲裁に入り最悪の事態を免れたのであります。もとより、地方自治法により一般廃棄物処理は市町村行政が責任を持って行うこととなっていますが、今回のようにここまでこじれてしまいますと到底市町村だけで解決できることではありません。また、行政の継続性を考えたとき、今回の問題解決のために県が仲裁に入ることは極めて自然な成り行きだと思いますが、いかがでしょうか。  そこで、この問題解決に向けた知事の決意のほどをお伺いいたします。  以上、一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 32 ◯副議長(豊沢 一男君) 麻生知事。 *知事答弁 33 ◯知事(麻生 渡君)登壇 浮羽三町の一般廃棄物処理場の問題についてでございますけれども、これは現在各市町村におきましてダイオキシン対策を進めているわけでございます。このためには、ごみの焼却方式を変えていくというようなことを早急に行っていかなければいけないという状況でございます。こういうことから浮羽郡の衛生施設組合も平成十四年のダイオキシンの規制強化に対応いたしますために、新たに廃棄物のRDF化施設の設置を計画をいたし、今お話があった地域にこれを設置をしようとしているわけでございます。この事業につきましては、今もるるお話がございましたように、近隣の甘木・朝倉の方から非常に強い反対が出ている状況でございます。本来、甘木、朝倉、浮羽というのは非常に密接に関係し、協力し合うべき地域であるわけでございます。そのような地域がお互いに対立するということは、非常に望ましくないというふうに考えております。この問題を解決するに当たりましては、まずやはり関係自治体が相互に意思の疎通を図っていくという努力が非常に大事であります。また、設置者の方では近隣自治体あるいは住民の意見を踏まえまして、その見解を整理していろんな対応策を考えるということも大切であるというふうに思っておりまして、関係自治体双方においてさまざまな努力がなされなければいけないと思う次第でございます。  県のあっせんなりについて、どうかということでございましたが、これは設置者───浮羽側でございますが、そしてまた近隣の自治体双方の意思を確かめながら柔軟に対応していきたいと考えております。 34 ◯副議長(豊沢 一男君) 林裕二君。 35 ◯四十三番(林 裕二君)登壇 大変厳しい状況に今あるといったことについては、今知事の方から、認識しておるというふうなことで答弁があったと思います。そしてまた、今後どうするかといったことにつきましては、今の知事答弁、仕方がないのかなというふうに理解をせざるを得ないというふうにも考えるところであります。ぜひ、知っておいてほしいのはですね、若干先ほどの繰り返しになると思いますけれども、五千人というのは人口の四分の一ですよ。当然、赤ちゃんとか病人とかそういった人たちも含みますから、ほとんどの人が出てきて、それも朝の七時半から出てくるんですよ。そして、どうして筑後川の中から外さぬのかというのが純粋な住民の気持ちです。二十八年の水害を目の当たりにしているのが、やっぱり朝倉町、杷木町、そして下流の皆さん方、人が流れていくのを見ているんですよ。そういったところに何でつくるのかといったのが、私は純粋な気持ちであるというふうに思います。そして今知事が言われました、私も認識しております、RDF施設をこれからの循環型社会に適したごみ処理施設ということで進めていこうと考えておられるのは当然わかっております。自分の地元、甘木、朝倉、三井郡の北野、大刀洗両町一緒になって今ごみ処理場を建設中です。五年間かけましてですね、百数十回地元で対策協議会ができて、会合が重ねられて、早朝から夜中まで数度となく甘木、朝倉、三井郡の町長さんたちは出かけていって、施設の安全性なり、立地の必要性なりを説得を続けてこられて、おかげさまでようやく、新聞にも載っておりましたように、きのう組合の議会が工事着工のゴーサインを出したところであります。同じような苦労があって、県内ではどこでも努力をされておるというのが事実ではないでしょうか。先ほど申し上げましたように、今回の浮羽郡の施設づくりについては、十月に浮羽町の山間部で計画をして、申請をして、一月しかたたぬうちに場所を現在の予定地に変更をしておるんですよ。はっきりとした理由はここでは申し上げません。地元から反対があったといったことだろうというふうにお話をさせていただいておきますけれども、そういったことでよろしいんでしょうかね。住民の理解を得ながら、自分たちが出すごみの処理場ですから何とか理解してほしいといったことで粘り強く地域住民の皆さん方の説得をやらなくちゃいけないということであります。こういったことがほかにもあります。もうきょうは言いません。いろいろとこの半年以上にわたる活動の中でわかってきてます。絶対これで許してなるものかといったのが現状でございます。  どうぞ知事初め執行部の皆さん方におかれましては、しっかりとこの問題をとらえていただきまして、実際どうなっておるのかといったことを的確に判断をしていただきまして、公正で公平な対応を心からお願いを申し上げまして、私の一般質問は終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯副議長(豊沢 一男君) 新村雅彦君。(拍手) *新村議員質問 37 ◯八番(新村 雅彦君)登壇 福岡県政クラブの新村雅彦でございます。毎回この場に立ちながら、一度でいいから「おはようございます」というあいさつをやりたいと常々言っておりましたけれども、何と一般質問の最後の登壇ということになりました。次回、楽しみにしながら本日、通告に従いまして質問に入ります。  県民、患者の立場からの県立病院のあり方について御質問を申し上げます。  最近、医療事故についてのマスコミ報道が本当に際立っているように思います。ところが、実際には国内で医療事故が増加をしているということを裏づける、そんな客観的で正確な資料は存在していません。それは、各医療機関にその報告を義務づけるというシステムがないためであります。したがって、医療事故の現状を把握するということは現段階では極めて困難なことだと言われています。しかし、一定の推測をすることは可能であります。アメリカの例です。アメリカのアカデミー医療研究所が一つに、ニューヨーク州の五十一病院の傷害発生事件三万件、そして二つに、コロラド州そしてユタ州の代表的な病院の傷害発生事件一万五千件についての調査、分析を実施をいたしまして、そして全米の医療事故の状況について推測をした報告書が九九年十一月に提出をされました。それによりますと、九七年の全米の入院患者およそ三千三百六十万人のうち、医療事故死亡者数を毎年四万四千人から九万八千人、そのように推定をしています。これは、全米の死亡原因の第八位とされ、交通事故死亡者約四万三千人、あるいは乳がんによる死亡者約四万二千人よりも多いというふうにされています。この数値を単純に我が国に当てはめる、そういう危険を冒してでも一定の推測をすれば、我が国の交通事故死亡者が約一万人ということから、一万人かそれ以上の人が医療事故で亡くなっているという可能性を推測することはできます。また我が国では、医療事故の専門調査機関がないことから、医療事故に遭った患者、家族が医療機関に対して納得いかないときやその責任を明らかにしたい、そういうときには訴訟を起こす以外に道はありません。そこで、医療過誤訴訟の状況について調査をしましたところ、九八年度、全国の一審で受理をされた件数が六百二十九件、十年前のおよそ一・八倍、そして一九八〇年前後の約二百件と比較しても著しい増加と言えます。なお、裁判所に届いてなくてもおよそ一千八百件程度が今時間待ちの状態というふうにも聞いています。これらの要因の一つに、患者、家族の医療に対する意識の変化が考えられます。医学の進歩によって多くの病気が不治の病から治療可能な病、そのように考えられるようになって、患者、家族は助かるに違いない、そういうふうに思うようになりました。そんな中で予想外に症状が重くなったり、あるいは死亡に至ったりした場合、これを医療の失敗だと受けとめる状況が出てまいりました。そこには、国民の医療への大きな期待が込められていると思います。また、医療においても情報公開を求める患者や家族の権利意識の高揚もその一因であろうというふうに思います。それでもなお訴訟という形で表面化された事故は、まさに氷山の一角でもありますし、そのすそ野はかなり広がっているのではないかというふうに推測されます。つまり、医療事故は増加をしているというふうにとらえるべきだと思います。  この医療事故を予防していくときに、その原因をどこに求めていくのか、ここが重要なところであろうというふうに思います。九九年以降大きくマスコミに報道をされたおよそ二十件について調査、点検をしてみました。末期がん患者に別の肺炎患者の薬剤を点滴し、死亡させた事故。A型の患者用の血液製剤を隣のベッドのO型患者に輸血した事故。点滴チューブに看護婦が消毒液を注入し、死亡させた事故。肺炎患者とがん患者の点滴を取り違えて双方とも死亡させた事故。夜間診療で、子供ののどに刺さった割りばしが脳に達していたのを見落として帰宅をさせて、結果死亡させたという事故。点滴中に強心剤のチューブが調節ポンプから外れていたにもかかわらず、気づかないでそのまま大量投与をして死亡に至らせた事故。主治医が指示簿に誤って記入をし、他の医師や薬剤師もそれに気づかないで、がん患者に三倍量の抗がん剤を投与し、死亡させた事故。呼吸器患者の人工呼吸器を看護婦が体をふく際にそのスイッチを切り、その後スイッチを入れ忘れたために死に至らせてしまった事故。人工呼吸器の加湿器に蒸留水ではなくて、消毒用のエタノールを注入して死亡させた。あるいは、ゼロ歳児に院内感染の治療用の抗生物質を何と通常の十倍量点滴をして、血流障害を起こさせ、指を五本とも切断をさせてしまった事故。考えられないような医療事故が、大きく報道された事件だけでもたくさんございました。九九年一月十一日に、この医療事故の大きなきっかけとなった横浜私立大学附属病院での事故があります。これは、心臓と肺を手術する七十四歳と八十四歳の患者を取り違えて手術をしてしまったという事故であります。この後、医学部長は看護婦の引き継ぎミス、このように説明をしてマスコミ各社もそう報道をいたしました。なぜこのような事故が起きたのか、看護婦だけのミスと言えるのか、看護婦のミスとしてもその原因は何なのか、病院という組織体の責任はないのか、今後、同様な事故が起きないのか、あるいは病院内のコミュニケーションの不適切さによって事故を引き起こす例が多いのではないかなどなど、この事故やこの間の医療事故から私たちは一定の教訓を学ぶべきではないかと強く思います。医療事故は、医師や看護婦等のいわば医療従事者が個人で起こした事故ではなくて、病院という組織の中で複数のエラーやルール違反あるいはルールの欠如が複雑に絡んで起きた事故ととらえる必要があろうかと思います。つまり、個人ではなくチームや組織全体のあり方を改善していかなければ医療事故を防止することはできないということであります。さらには、医療事故はあってはならないことには違いありません。しかし、医療事故は起こり得るんだという認識に立つことが予防の第一歩であろうと、そのように思います。  このような状況の中で、県立病院それぞれに今般、医療事故防止対策委員会が設置をされ、そして調剤過誤防止マニュアルが作成され、さらには保健福祉部に医療事故防止のための会議が設置、そして県立病院など県内七施設にカルテ等の開示に関するガイドラインが示されたということは、一定の評価がなされると思います。民間医療機関では光が当たらない部面に光を当てていくためにも、そして県内医療機関の先導的、指導的役割を担い、県民そして患者、家族に対して医療への信頼と安心を導くためにも県立病院の意義は大きいと思います。今後の県立病院の、県民、患者の立場に立った、そして開かれた医療の取り組みに期待をしながら、県における取り組みをもっと実効あるものにしていく、そういう観点から以下質問をいたします。  一点目は、これら県立病院における診療情報開示や調剤過誤防止マニュアル作成などの取り組みについての県民への情報提供についてであります。御案内のように、医師法第六十九条には、医業等に関する広告の制限について示されています。医師名や診療科目などの十一項目以外は、文書その他いかなる方法を問わず広告してはならない、そういうものであります。しかしながら、患者が主人公との立場から考えますと、患者、家族に、そして県民に開かれた医療を目的とした取り組みの情報提供は、広告とは基本的に異なるものであります。また、県立病院に対する信頼度を高めるだけでなく、他の多くの民間医療機関への一定の効果があると期待されるとき、これらの情報提供が法に抵触するとはとても思えません。県民への情宣についての考え方及び具体的な手だてについて、知事にお伺いいたします。  二点目は、カルテ等の診療情報の開示についてであります。本年九月一日より、診療情報の提供に関するガイドラインに基づいて、カルテ等の提供が県立病院等でスタートいたしました。このことは、医療従事者が積極的に情報を提供し、そして患者、家族と情報を共有することによって相互の信頼関係を築き、より質の高い医療の実現に寄与するものとして今後の推移に注視をしているところであります。一般に診療情報の開示については、二つの側面が考えられます。一つは、医療従事者の方が患者、家族に積極的に開示をし、十分な説明の上、同意そしてまたは選択を通してともに連携しようとする場合であります。他方は、患者、家族から結果として満足できなかった医療の原因の責任を追及するために求める場合であります。治療行為は通常、医的侵襲、つまりは体を傷つける行為を伴うものでありますから、当然に患者の事前承諾なしには行えず、承諾を得る前提として当該治療の必要性を根拠づける情報として、診療の結果等を説明することは不可欠であります。そのためにも、前者の開示のあり方の推進が図られなければなりません。  そこで、保健福祉部長にお伺いをいたします。日常の診療においては、このカルテ等の情報提供の際には特段の開示手続は不要というふうになっていますが、実際には患者の方から申し出るという状況にはなっていないのが実態であります。今回の開示の基本理念に立てば、むしろ医療従事者の方から積極的に開示していくという取り組みが今後より重要になると思いますが、まずは見解をお聞かせください。  そして、開示される診療記録とりわけカルテについてはすべての患者に理解できるものでなければ、いわばインフォームド・コンセントの理念の実現にはつながってまいりません。カルテの記載については、一般には簡単に診療を行った場合は遅滞なく必要な事項を記載しなければならない、こういう保健医療機関及び保健医療用担当規則というものがあるだけで、その必要事項の基準もありません。しかしながら、カルテが開示されたとしても、患者にとって何がどのように書いてあるのかがよくわからないようでは、それこそ開示の意味はありません。例えば、日本語で記述をしたり、記述内容についても一読して患者がわかるものにしていくことなどが検討されるべきと思いますが、カルテ記述等についての考え方を示していただきたい。  さらに、一患者一カルテの取り組みについてお尋ねをいたします。八一年の開学以来、隣の佐賀医科大学ではカルテを病院の財産と位置づけて、患者診療に関与する医療従事者全員に患者情報が明確に伝わる、そういうためのものとして医師、看護婦、そして臨床薬剤師、管理栄養士、リハビリ技師、放射線技師などが同じページに記入をして、また退院後の患者のカルテも診療録管理センターに一括管理をして必要なときにいつでも見られるというシステムをつくっていると聞いています。カルテ記載を簡潔で正確なものにして、すべての医療スタッフが情報を共有できる書き方の統一というものが検討されているとも聞いています。医療事故防止の観点からも、この一患者一カルテの検討がなされるべきではないかと思いますが、見解をお示しください。  三点目は、県立病院それぞれに設置されています医療事故防止対策委員会についてであります。九八年九月十四日に柳川病院に設置をされて以来、本年三月二十一日に精神医療センター太宰府病院に設置され、すべての県立病院に対策委員会が機能することになりました。それぞれの対策委員会の今後の取り組みに期待を寄せるものであります。そこで、これらの医療事故防止対策委員会の取り組みがもっと実効あるものに、そう願って以下お尋ねをいたします。  これらの対策委員会の主な取り組みは、研修会そして再発防止策の検討、原因究明と事故への対応となっています。特に再発防止策の検討は十分になされなければなりません。これまで各対策委員会で検討された防止策がどのようなものなのかを、まずは保健福祉部長にお尋ねをいたします。  さらに現在、医療におけるリスクマネジメントの具体策として、インシデントリポートが極めて重要だという認識が各医療現場で高まっているとも聞いています。危うく事故になりそうだったけれども、有害な結果が生じるのを何とか免れたという思いがけない出来事、これがいわゆるインシデントであります。一件の重傷事故の背景には二十九件の同種の軽傷事故、三百件の傷害のない事故が存在し、さらには相当の数の危険な行為がその背景にある、これはいわば労災事故について述べたハインリッヒの法則と言われているものであります。エラーは事故の原因ではない、組織の失敗の結果であるという認識に立てば、インシデント報告について対策委員会での今後の大切な検討事項として論議されると思いますけれども、この点について保健福祉部長の見解をお聞かせいただきたい。  また、各病院における対策委員会の構成を見ますと、病院長を初め病院関係者で構成されています。患者、家族の医療に対する信頼と安心を保障していくという観点から、患者、家族の意向等が反映できる機関というものがますます必要になってきたと思います。北欧やイギリスなどでは、それぞれに苦情処理制度が確立をしているとも聞いています。我が国の実情から、ひとり県立病院にこれらのシステムを早期に導入することには結果としてならないとしても、患者、家族の苦情、要望等を日常的に受け付け、またそれを反映できる手だてを講じる必要性はむしろ高まってきていると思います。一方で、我が国でも病院内部だけの取り組みにとどまらず、患者、家族の声を生かしていく制度の実現が強く求められています。他方、制度が充実していない中であっても県として努力をしていく必要はあろうかと思います。県立病院のこれまでの患者、家族の意向の反映に向けての取り組み経過、そして今後に向けての知事の決意をお聞きしたいと思います。  最後は、民間医療機関に対する医療事故防止策についてであります。本年八月二十四日に保健福祉部の中に、医療事故防止のための会議というものが設置をされています。これはあくまでも県立病院を対象としたものでありますから、先ほど申し上げました各病院に設置をされています医療事故防止対策委員会、これらと有機的に連動するというものであります。したがって、他の県内の民間医療機関等については全くの対象外というふうになっています。仮に県立病院でほかに先駆けてインフォームド・コンセントの理念実現に向けて、さらには医療事故防止のためのシステムづくりに取り組んでいくとしても、その他の民間医療機関等への指導、支援の道筋を明らかにしていくという課題は残ったままであります。医療事故についての報告は医療機関に義務づけられていない中では、県内の医療事故の実態を把握することは極めて困難であるという認識は持っていますが、起こり得る医療事故を予防していくためにも実態把握への工夫、検討が強く要請されていると思いますが、知事の決意のほどをお伺いしたいと思います。  さらに、県立病院の取り組みの成果等についてもその他の民間医療機関に伝えていく、あるいは指導、援助していく、そういう責任を県としても担うことになると思いますが、その基本的な考え方、そして具体的な取り組みについて知事にお尋ねをして一回目の登壇を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 38 ◯副議長(豊沢 一男君) 麻生知事。 *知事答弁 39 ◯知事(麻生 渡君)登壇 県立病院におきます医療情報の提供につきましては、平成十二年九月一日から具体的に実施をいたしております。インターネットを活用いたしまして、県のホームページにこの旨の表示を行っております。また、院内の掲示などによりまして県民に新しい提供システムの周知を図っているところでございます。また、調剤によります医療過誤を防止いたしますために、調剤過誤防止マニュアルを策定をいたしておりまして、これにつきましてもホームページへの掲載などによりまして県民の皆さんへの情報提供を行ってまいる考えでございます。  それから、患者の皆さん、家族の皆さんの要望をどういうふうに酌み取っていくかということについてでございます。各病院などに寄せられております、医療につきまして患者の皆さん、家族の皆さんからの要望、苦情に関しましては、現在その内容に応じまして個々の責任者が対応いたしてその解決に努めております。今後は、医療行為にかかります意見などにつきましては医療事故防止対策委員会にこれを報告いたしまして、改善策の協議を行い、対応をしてまいるというやり方をとってまいりたいと思います。また、病院の対応窓口をわかりやすくしていく、患者の皆さん、家族の皆さんが気軽に相談できるように努めてまいる考えでございます。  次に、民間医療機関におきます医療事故の防止対策についてであります。  まず、医療事故の防止対策は、それぞれの民間の医療機関がみずからのものとして主体的な取り組みを行うということが最も重要であるというふうに認識をいたしております。本県におきましては、本年度の医療監視におきまして、民間医療機関を対象に、事故防止委員会の設置とその活動状況、医療事故やインシデントの院内報告制度の整備、事故防止マニュアルの作成状況、職員の研修の実施状況についての調査、指導を行っております。また、県立病院の医療事故防止マニュアルをインターネットで公開をいたしまして民間医療機関の取り組みを支援をしてまいる考えでございます。 40 ◯副議長(豊沢 一男君) 隈本保健福祉部長。 *保健福祉部長答弁 41 ◯保健福祉部長(隈本 英臣君)登壇 診療情報の開示やカルテの記述方法等につきましてお答えします。  まず、県立病院におきます診療情報の提供につきましては、福岡県立病院における診療情報の提供に関する指針に基づきまして、日ごろの診療の中で患者さんに対し積極的に情報提供を行い、医療従事者───医師や看護婦等の医療従事者と患者さんとの相互の信頼関係を築くとともに、よりよい医療サービスの提供を目指しているところでございます。  次に、カルテの記述方法につきましては、読みやすい文字で記入をし、医師個人しかわからないような略語は使用しないなど、わかりやすいカルテの記入に努めているところでございます。  次に、一患者一カルテの導入につきましては、医師や看護婦さん等が患者さんの情報を共有し、診療を行うことは重要であることから、既に消化器医療センター朝倉病院、遠賀病院、精神医療センター太宰府病院で導入しているところでございます。ほかの柳川病院、嘉穂病院につきましても、一患者一カルテの導入に向け検討を行っているところでございます。  次に、医療事故防止対策委員会で検討された医療事故の再発防止策といたしましては、薬剤の投薬ミスの反省から、薬剤の投薬の際のチェック態勢等を盛り込んだ過誤防止マニュアルの作成、患者さんの情報の伝達不備による診療のおくれに対する反省からの連絡システムの構築、及び事故を未然に防ぐための看護部門を中心にしたインシデント報告の導入を行うことについて検討を行ってきたところでございます。  次に、インシデント報告につきましては、現在、作成を進めております県立病院医療事故防止マニュアルの中に統一的な取り扱いを定めまして、すべての県立病院において取り組むことといたしております。 42 ◯副議長(豊沢 一男君) 新村雅彦君。 43 ◯八番(新村 雅彦君)登壇 冒頭に、今の国の医療行政のあり方について触れさせていただきました。驚きましたのは、これだけたくさんの医療事故が、あるいは医療過誤の報道が連日のごとくなされているにもかかわらず、国としてこの医療事故に対しての報告を義務づけるという、そういうシステムがない。したがって、医療事故の実態がわからないという、そういう状況が続いているということに大きな疑問、国の医療行政に対する疑問を持ちました。そこには、医療行政、この間ずっと、そのあり方として何らかの問題が、やっぱり横たわってきているのではないかというふうに思いました。一つには、お医者さんといいますと、さすがに僕らも専門性という壁の前には対等に話ができるという立場にありません。どうしても、失礼ですけれども排他的になるような、そういう一つの構造があろうかというふうに思います。そんな中で、常々我が国では、患者さんとお医者さんとの立場では、患者さんが常に下位に位置づけられてきた、そしてそのために今、患者の権利法であるとか、あるいは医療行為を契約という観点から医療消費者基本法なるものを制定しようやという動きが出てきているのだけれども、しかし、その実態としてはまだまだ、先ほど言った、患者が下位に置かれているという、そういう実態を克服するに至っていない、そのように思います。国に医療事故の報告義務がない、あるいは患者の権利を擁護する、患者を守る、そういう視点からの法整備もなされていない、だからといって自治体から指導ができないというのでは、今の大きな医療事故という課題の放置にすぎないというふうに思います。そういう意味で今回の質問は、国にそういうシステムがない中であっても、患者の立場で、県民の立場で医療、特に民間医療機関に対しては限界があろう、だからこそ県が直轄をしている県立病院については、どんな他県の、あるいはどのほかの医療機関に比しても指導的役割を、先駆的な役割をやりましょう。実態把握についても知恵を絞っていただきたい。法整備がないから、システムがないからできませんだけでは、今の事態を解決していくことにはならないという思いからであります。  もう一つは、県内の県立病院にそれぞれ対策委員会ができました。調剤過誤のマニュアルの作成も行われました。カルテ開示等の指針もでき上がりました。まだまだ取り組みとしては───一定の評価をしているところでありますけれども、まだ緒についたばかりであります。具体的には、これがどのように機能して、そして医療事故防止あるいは医療従事者にとっての自覚を促す起爆剤になり得るのか、あるいは他の民間医療機関等々にどれだけの支援なり指導につながっていくのか、そのことが課題だというふうに思います。その意味では、患者や家族の要求や、あるいは苦情や意見、これらを何とか対策委員会の中で検討ができれば……。そのためにも、苦情等を受け入れる日常の常設の窓口が必要であろう。確かに、どこに行ってもいいですよというふうに言われても、患者サイドから見たら、大きな病院の中で右往左往するに決まっています。むしろ、積極的にこういう窓口がありますよという、そういう機関を設ける必要があろうかという意味での質問でございました。  病院の事故がさまざまに指摘をされてまいりましたけれども、緒についたばかりであります。何といっても今後、保健福祉部並びに県立病院、皆さん方に、私も知恵を出していきたいというふうに思います。他の民間医療機関に先駆けて大きな改革を成し遂げていただきたいと思いますし、国にあっても、先ほど申し上げたような患者の権利を守る法整備であるとか、あるいは医療事故の報告義務づけ、こういう課題についても皆さん方の知恵をかりながら、一歩でも二歩でも進んでいけたらというふうな感想を述べまして、長くなりましたけれども一般質問最後の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手) 44 ◯副議長(豊沢 一男君) 以上で一般質問を終わります。 *議案審査付託  次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第一三七号議案から第一六一号議案までの二十五件をお手元に配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託をいたします。        ───────────────────────────────────── *請願上程 45 ◯副議長(豊沢 一男君) 次に、請願二件がお手元に配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。        ───────────────────────────────────── *審査付託 46 ◯副議長(豊沢 一男君) ただいま上程をいたしました請願二件は、それぞれ所管の常任委員会に付託をいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 五十四分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...